4回目となるアジアシリーズは、埼玉西武ライオンズの優勝で幕を閉じました。大会の岐路に立ったともいえる今回のアジアシリーズで、改めて思ったことがあります。それは「アジアシリーズの妙味である、韓国と台湾の対戦をもっと盛り上げなければ!」ということです。
これまで何度も記したように思いますが、土曜の夜に日本以外のプロ野球チームが、決勝進出をかけて戦う真剣勝負。グラウンドには日本にはないような色彩のユニフォームをまとった選手たち。スタンドの両サイドからは個性豊かな応援合戦が繰り広げられ、チアリーダーが華を添えます。しかも、たった1,000円(自由席)で楽しめる。こんな娯楽は他にないでしょう。
そんなことから過去3回の大会は、当方なりに韓国-台湾戦の魅力をアピールし続けました。その効果があったかどうか分かりませんが、観客数は05年6,340人、06年6,445人、07年7,290人とわずかではありますが増えていました。日本の出場チームに左右されないこの対戦、やりようによってはウマミもありそうです。
しかし今回は諸事情によりスタートが遅れ、これといったプロモーションはしませんでした。また、当方自身、前回記したような慢心もあり、韓国-台湾戦の重要さを忘れていたようです。さまざまな要因が重なり、今年の観客数は5,228人。試合当日に雨が降った06、07年よりも、球場へ足を運ぶ人は大幅に減ってしまいました。
アジアシリーズという大会は、遠巻きに見ている人にとっては「大変だし別にいらないんじゃん」という存在のようですが、少しでもその大会理念に触れると「絶やしてはならない」と思える意義あるものです。
ただ、方法については一考の余地があるでしょう。今後、前向きにアジアシリーズが進んでいくことを願ってやみません。そのためなら当方はひと肌もふた肌も脱ぎます。
今年も、つたない内容にお付き合いいただき、ありがとうございました。J SPORTSのみなさんお世話になりました。木村公一さん、次回またWBCのグラウンドでいろいろ教えてくださいね。
それでは、またどこかで。アンニョン(さようなら)!
決勝戦を戦った両チーム。それぞれを讃える姿は、とてもさわやかでした。
(文・写真/室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。韓国のスポーツ紙でも、2006年よりコラムを毎週韓国語で連載している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。
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