まず、謝らなければならないと思っています。当方、そして韓国プロ野球に関わる人達は、完全に慢心していました。2年連続で日本出場チームに勝利し、昨年は統一にコールド勝ち。今年も「勝って当然」という雰囲気が蔓延していました。選手たちに手抜きがあったとは思いませんが、統一の選手達は本当にあっぱれでした。試合後の会見で、統一のリュ・ウエンション監督は「韓国シリーズ全戦にコーチを派遣してSKを偵察した」とのこと。監督以下、選手の姿勢は謙虚で、韓国側が忘れていた部分でした。
4回目となるアジアシリーズ。毎年土曜の夜に行われる韓国-台湾の両出場チームの対戦は、大会の中で、最も緊張感のあるものでした。しかし、昨年SKが躍進したことで、そのことをどこかに忘れてしまっていました。
思い起こせば韓国は、代表戦ではありますが、2003年のアテネ五輪出場をかけた札幌ドームでの予選で、準備不足により台湾に敗戦。そこで反省したはずでした。その結果、06年、WBCアジアラウンドでは入念な台湾対策を練り、勝利したのですが、今回、03年の時のように、油断がなかったとはいいえないでしょう。
「3点以上離して勝たなければならない」と、一発長打にかけたリュ・ウエンション監督と、負けた場合の失点率のことは頭になかったSK。韓国側の誰にもスキがありました。
SKは来年に向けて、今年と同じ目標を掲げることになります。来年もこの大会があることを、世界で一番願う集団となるでしょう。
決勝戦に進んだ、統一ライオンズ。今回は日本勢以外が王者に輝くチャンスかもしれません。心からエールを送ります。
試合後の記者席
試合後の記者席です。前列が台湾メディア。後列が韓国メディア。韓国は毎週日曜日が新聞休刊日なので、新聞記者たちは土曜日はお休み。記事は書きません。ということで閑散としてます。一方の台湾のみなさん、キーを打つ手に力が入ります。本当におめでとう!
(文・写真/室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。韓国のスポーツ紙でも、2006年よりコラムを毎週韓国語で連載している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。
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