3連勝で予選を1位通過したSK。2005年からスタートしたアジアシリーズで、今回の決勝戦が韓国チーム対日本チーム5度目の戦いですが、韓国側が初めて優位な立場で迎えた試合でした。
「挑戦者」ではないSKが、ここまでのような戦いをできるか正直不安でしたが、シーズン中よりも、韓国シリーズ、アジアシリーズを経て、どんどん強くなっていったチームは、臆することなくゲームを進めていきます。
3-5で迎えた7回表、1死一・三塁のピンチを招きますが、左腕のカ・ドゥクヨムがしのぎ、8回裏のイ・ジンヨンの同点2ランを呼び込みました。同点にさえなれば、あとは自慢のリリーフ陣がつなぎ、打撃陣が1点をもぎ取るという、普段のSKらしい戦いになるところでしたが、ひとつだけ違ったのは「決勝戦の場合、勝敗が決まるまで行う」というルールのため、延長戦を考え、6番手のロマノを続投させたことでしょうか。
とはいえ、ロマノを責めるよりも、ノーアウトで出たフォアボールのランナーをバントで送り、ヒットで還した中日が素晴らしかったというところでしょう。
試合後の記者会見で、監督、選手が語った「力で負けたと思っていない」という言葉は、負け惜しみではなく、今年に限っては、韓国のチャンピオンチームが日本のチャンピオンチームと対等に戦えたということだと思います。
SKはアジアNo.1にはなれませんでしたが、今後もアジアシリーズが継続するのであれば、今回のSKの戦いは、日本に追いつこうとする各国球界にとって、励みになったのではないでしょうか。
(文 室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。今年もアジアシリーズのプロモーションとして11月10日に「韓国プロ野球トークライブ」を実施。
コメントする