アジアシリーズが直前に迫ってきましたので、韓国シリーズを振り返りながら、4選手をご紹介していきます。
SKの1勝2敗で迎えた第4戦、対戦相手のトゥサンは必勝を期して、今季22勝でリーグMVPの助っ人右腕、第1戦で完封勝利を挙げた、ダニエル・リオスを中3日でぶつけてきます。
これに対し、SKの先発は、高卒ルーキー左腕、19歳のキム・グァンヒョン。球団史上最高額の5億ウォン(約6,500万円)の契約金での入団した、将来を有望視されている投手です。シーズン中は3勝どまりでしたが、そのルーキーを大舞台の先発に送ります。そのキム・グァンヒョンが快投。150キロ台の速球を武器に、6回1アウトまでノーヒットピッチング。7回1/3を被安打1の無失点。奪った9つの三振が全て空振り三振という、胸のすくような投球です。これには試合後のインタビューで、キム・ソングン監督が「SKに大投手が誕生した」と語り、7日に東京ドームホテルで行われた、アジアシリーズ監督記者会見では「キム・グァンヒョンは、この大舞台に出ることで成長できる。このことはチームだけではなく、国にとっても大きな期待」と語りました。高校時代からの特徴である、マウンド上での笑顔は「ほほえみ王子(?)」として日本の野球ファンにも記憶されるかもしれません。
こんなガッツポーズが、アジアシリーズでも見られるか?
続いて、2勝2敗のタイで迎えた第5戦。この日の先発は、広島でもプレーし、昨年のアジアシリーズでは台湾・LaNewの一員として好投を見せた、ケニー・レイボーン。6回を無失点に抑え、役割を果たします。レイボーンは与四死球が99個とリーグワースト2位。この日もカウントを悪くして走者を許しますが、キム・ソングン監督いわく「四球で与えた走者では失点されていないという、シーズン中のデータがあるので、四球にはあまり心配していない」とのこと。アジアシリーズでも先発登板が予想されますが、ランナーを背負いながら、要所を締めるというピッチングとなりそうです。
アジアシリーズでは、日本球団のスカウトも関心を寄せるレイボーン
第5戦の打のヒーローは、今季、軍入隊から復帰し、4番に返り咲いた「帰ってきた4番打者」イ・ホジュンと、シーズン中はツープラトンシステムの採用で起用が減り、満足のゆく成績は残せなかった「球界一の美男子」キム・ジェヒョンのキャリアのある両選手です。
イ・ホジュンはシーズン中、チームトップの71打点。得点圏打率・3割8分4厘のチャンスに強い頼れる4番。今年12月の北京五輪アジア予選で初の代表チーム入りとなります
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ムードメーカーで頼れる4番のイ・ホジュン
キム・ジェヒョンはLG在籍時の2002年、「股関節無血壊死症」で選手生命の危機に立つも、キムソングン監督(現SK監督)の下、手術を遅らし韓国シリーズでプレー。第6戦で代打出場し、二塁打性のタイムリーヒット。しかし、走ることが出来ずなんとか一塁へという、韓国シリーズの歴史の中でも記憶に残るシーンを見せた選手です。今年の韓国シリーズでは打率.364、2本塁打、4打点でMVPに。アジアシリーズでもシャープなスイングで快音を響かせることを期待したいです。
シャンパンファイトのあとのMVP受賞で、水もしたたるキム・ジェヒョン
次回はその他の主力選手をご紹介します。
(文・写真 室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。今年もアジアシリーズのプロモーションとして11月10日に「韓国プロ野球トークライブ」を実施。
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