今年、韓国の選手たちが最も注目を浴びた瞬間というと、間違いなく北京オリンピックだと思います。今回アジアシリーズに出場するSKワイバーンズからも、韓国野球代表24選手中、4人(トゥサン、サムソンと並び最多人数)が北京でプレーし、見事金メダルを手にしました。今回はその4選手をご紹介します。
まず、最も印象に残っている選手といえばやはりこの人。予選、そして準決勝で日本戦に先発した左腕、キム・グァンヒョン投手です。
予選では和田毅投手(ソフトバンク)と投げ合い、5回1/3を被安打3、7奪三振、無失点の好投。準決勝では序盤はふらついたものの、8回を2失点に抑え、勝ち投手となりました。北京では準決勝の時、トイレでばったり阿部慎之助選手(巨人)に会ってしまい、いつもの「ほほえみ」で話しかけたというキム・グァンヒョン。アジアシリーズで阿部選手と再会なるでしょうか?
投手ではもうひとり。抑えを務めるサイドスロー、チョン・デヒョン投手です。日本戦では予選の9回裏、3-5で日本が2点を追う1死二・三塁という場面でマウンドに上がりました。ここでチョン・デヒョンはG.G.佐藤選手(埼玉西武)を空振り三振、森野将彦選手(中日)をサードゴロに抑え韓国を勝利に導きました。キューバとの決勝戦でも3-2で韓国1点リードの9回裏、2死満塁で登板。ショートゴロ併殺で金メダルを手にするなど、ピンチに動じない守護神です。
野手では準決勝・日本戦で同点劇を演じた2人が、SKに在籍しています。2-1と日本の1点リードで迎えた7回裏。韓国は1死一塁。この時に代走に出たのがSKのチョン・グンウ選手でした。その後2死一・二塁となって、代打に登場するのが、SKのイ・ジンヨン選手。イ・ジンヨンは藤川球児投手(阪神)の6球目をライト前へ運ぶヒット。この打球で二塁走者、チョン・グンウ選手が、勢いのよい走塁と、捕手のタッチをかいくぐるスライディングで生還。韓国はSK2選手の活躍で2-2の同点にしました。この次の回に、イ・スンヨプ選手(巨人)の2ランホームランが飛び出し、韓国は決勝戦進出を確実なものにします。
北京五輪で好走塁のチョン・グンウ
国際大会で強さを発揮する、イ・ジンヨン
今回のアジアシリーズで、北京五輪の激闘を思い出すのも、楽しみのひとつとなりそうです。
(文・写真/室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。韓国のスポーツ紙でも、2006年よりコラムを毎週韓国語で連載している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。
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