【華流野球報告2008】台湾シリーズ(かんたん)解説・その2

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(3)10月28日 ○兄弟6-5統一●
(4)10月29日 ●兄弟0-5統一○
(5)10月30日 ●兄弟4-7統一○

上記が第3戦から第5戦の結果です。3戦目は兄弟が勝って2勝1敗としたものの、4、5戦は統一が巻き返し3勝2敗としました。結果だけ見ても今年の台湾シリーズは勝って負けてのシーソーゲーム(ちょっと古いね、表現が)。

兄弟は、主砲の彭政閔が2戦目で足を痛めて途中退場した影響もあってか、このあたりからややブレーキがかかってきました。対する統一は3戦目の終盤にブリトー、陳連宏らの一発が出て、負けはしたものの、シリーズ待ちで間が出来ていた持ち前の打線に火がつき始めた感じがしました。

ちなみに3戦目、両軍あわせ6死球という荒れた展開となり、第4戦ではその影響から選手たちが睨み合い、もみ合うシーンも。3戦目に先発した兄弟のダニー・コーアという投手が2回に危険球で退場したのが伏線でした(でもって同投手は翌4戦目に再び先発するという、ある意味、短期決戦ならではの見どころもあったのですが)。

5戦目もその“流れ”を引きずり、試合終了時にマウンドにいた統一の林岳平がガッツポーズをすると、兄弟ベンチにいた選手たちが挑発行為と受け取って、またもみ合いに。

ご覧のような迫力あるクロスプレーも。
ご覧のような迫力あるクロスプレーも。

実は戦前、兄弟の中込投手コーチがこんな「予言」をしていました。「7試合のうち、3つの負けは想定している」と。要するに自軍の投手陣と統一の打線(あるいは、自軍の打線と統一の投手陣)を重ね合わせ、シミュレーションをしていたわけです。言い換えれば「負けないと想定できる試合」を、いかに確実に勝ちにいけるか。言葉では簡単ですが、この読みは実に難しく、だからこそ興味深いものです。ただ、この3戦~5戦目の死球に端を発した“興奮状態”は、中込コーチの想定外だったはずです。それが結果に影響を与えたとは言い切れませんが、要素としては否めなかった気もします。5戦目の試合後は、興奮した兄弟のファンが統一の選手バスを取り囲み、一時、騒然となったとも聞きました。

ここまで統一の打線は、決して爆発していませんでした。そんな打線に刺激を与え、同時に冷静な試合運びが出来なくなっていたとしたら……。単なる結果論に過ぎませんが、兄弟のシリーズにおける敗因は、この3試合の中にあったようにも思えました。

シリーズでは先発、中継ぎと奮闘した新人の買嘉瑞投手。中込コーチの秘蔵っ子です。
シリーズでは先発、中継ぎと奮闘した新人の買嘉瑞投手。中込コーチの秘蔵っ子です。

(文:木村公一/写真:CPBL提供)

木村公一
木村公一

1961年東京生まれ。80年代半ばから韓国プロ野球を取材。台湾は90年のプロ発足時からフォロー。アメリカもメジャーリーグからマイナー、独立リーグと野球あるところ歩き回る。著書に『裏方―物言わぬ主役たち プロ野球職人伝説』(角川書店)など。

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このページは、が2008年11月10日 11:05に書いたブログ記事です。

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