【華流野球報告2008】台湾シリーズ(かんたん)解説・その1

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ようやっと台湾シリーズの紹介です。

2連覇を目指す統一と、ワイルドカードから勝ち上がってきた台湾No1の人気チーム兄弟の戦いです。でも勢いは確実に兄弟にありました。兄弟としてはプレーオフを3タテで済ませていたので、シリーズ初日まで中五日。先発投手陣もシーズンに近く休養を取れる間隔です。

ポイントとしては、強打の統一打線を兄弟の投手陣がどれだけ抑えられるか。ある意味、その一点だったと思います。なにしろ統一はチーム打率・285(リーグ2位タイ)、本塁打に至っては84本でトップの打撃チームです。対する兄弟のチーム打率も・283ながら、本塁打は半分以下の38本。というか今季、2チームの対戦成績は統一の16勝4敗と、ほとんどボコボコ状態だったのです。この差はひどすぎます。いくらシリーズは短期決戦で別物とはいえ、兄弟が最高のムードで臨んできたとはいえ、結果は明らかでは。そんな見方が大勢を占めていたはずです。

ところが初戦、二戦目までの結果は……。

(1) 10月25日 ●統一3-9兄弟○
(2) 10月26日 ○統一5-4兄弟●

やはり公式戦とシリーズは別物でした。とくに初戦に挙げた兄弟の9得点。完全に立場逆転のスコアです。兄弟の先発はエースの廖于誠。アンダーハンドの若手で、台湾でもくせ者の部類です。統一がプレーオフ待ちで打線に勘が戻っておらず3得点しか奪えなかったのはよしとしましょう。でも兄弟の9得点とは、正直、意外でした。統一の先発はハックマンという外国人投手。7月に途中入団した元メジャーですが、この投手が7回途中まで5失点。でもって、後続の投手たちが次々に火だるま、です。去年からそうですが、打撃の統一というぶん、投手力、とくに抑えが不安定です。不安定というより、事実上、不在です。このあたりは後述しますが、統一の最悪、典型的負けパターンでした。“勝つときは派手だが、負けるときもガタガタ”という統一の面目躍如(?)です。二戦目は接戦でなんとか勝敗を五分にしましたが、エースの潘威倫も8回投げて4失点。打線も8安打と爆発しません。この時点で、流れはまだ兄弟。ほんと、戦前の予想などまったくアテにならないと痛感した出だしでした。

兄弟の廖于誠。俊介とまではいきませんが、しっかりサブマリンしています。
兄弟の廖于誠。俊介とまではいきませんが、しっかりサブマリンしています。

統一のエース、潘威倫。シーズン防御率2.75の投手が8回4失点は、やはり誤算です。
統一のエース、潘威倫。シーズン防御率2.75の投手が8回4失点は、やはり誤算です。

(文:木村公一/写真:CPBL提供)

木村公一
木村公一

1961年東京生まれ。80年代半ばから韓国プロ野球を取材。台湾は90年のプロ発足時からフォロー。アメリカもメジャーリーグからマイナー、独立リーグと野球あるところ歩き回る。著書に『裏方―物言わぬ主役たち プロ野球職人伝説』(角川書店)など。

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このページは、が2008年11月 7日 14:32に書いたブログ記事です。

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