14日の中国・天津戦を15-0のコールドゲームで勝利したSK。ここからは決勝戦を見据えた戦いとなります。
キム・ソングン監督は、天津戦を前に「中国、台湾での試合では、勝ってもピッチャーはあまり使いたくない」とのこと。結果、天津戦では先発、ソン・ウンボム以降、イ・ヨンウク、チョン・ビョンドゥ、キム・ウォンヒョンの各投手が登板し、勝ちパターンの投手を温存することができました。台湾・統一戦でも、先発が予想される、チェ・ビョンヨン投手が序盤をきっちり抑えることが期待されています。チェ・ビョンヨンは昨年の本大会でも統一戦に先発。5回をソロホームランの1点に抑え、勝ち投手になっています。
一方の打線ですが、キム・ソングン監督は「統一は変化球投手が多いので、それに対応していきたい」とのこと。昨年は13-1で勝利しましたが、相手投手の四死球でチャンスを広げたという点もあります。チャンスで一気に攻め込めれば、SKは有利に試合を進められそうです。
また、前回記した、パク・キョンワン捕手ですが、天津戦には出場せず、統一戦には状況により、途中から出場の見込みです。そして、決勝戦に進出した場合は、スタメンマスクが予想されます。
さて、14日の試合前ですが、韓国から大きなニュースが飛び込んできました。それは、北京五輪代表で、ヒーローズのエース左腕、チャン・ウォンサム投手(25歳)がサムソンに金銭プラス1名とトレードになったということ。その金額はなんと30億ウォン!(約2億1000万円。今は円高なので。今までなら3億円)。チャン・ウォンサム投手の今季の年俸は8,000万ウォン(約600万円)。トレードマネーがいかに大きいかがうかがえるでしょう。
このトレードは、ヒーローズが球団維持のために「チャン・ウォンサムを売った」と言えます。かつて同じような形で、球団維持のために大物選手を放出し、結果、チームは衰退、消滅していった過去がある韓国プロ野球。その渦中にいたのが、パク・キョンワン捕手であったり、弱体化した球団・サンバンウルを率いていた、キム・ソングン監督です。「チャン・ウォンサムがサムソンに入ったら、打線の援護などで15勝はできる」とキム・ソングン監督。
「SKの独走許すまじ」というサムソンと、お金が必要なヒーローズの利害が一致したこのトレードですが、今後の球界に不安を与える韓国からのニュースに、東京ドームの韓国関係者は大きな衝撃を受けました。
(文・写真/室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。韓国のスポーツ紙でも、2006年よりコラムを毎週韓国語で連載している。有限会社ストライク・ゾーン取締役社長。
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