中国戦、統一戦とコールド勝ちしたSK。シーズン中、ずっと首位をキープしていたSKですが、韓国シリーズ、そしてアジアシリーズと、チームがどんどん強くなっているのを感じます。その中のひとつに「選手の勝利へ向けた自覚」があります。
前回、本欄で「また、2回には無死一・二塁の場面でパク・ジェホンに、普段にはない送りバントの指示。」と記しましたが、このバント、驚いたことに、実はサインではなく、パク・ジェホン自らの判断だということが、監督のコメントから明らかになりました。聞いてみなければわかりませんね。
パク・ジェホンといえば、プロ初年度の1996年、新人王、本塁打王、打点王に輝き、華々しくデビュー。国際大会での強さから「リトルキューバ」と呼ばれ、年俸はチーム内トップの4億ウォン(約5千万円)です。しかし、性格には若干ムラがあり、チームのためというより、個人主義的なタイプです。
ヒョンデ、キアを経て2005年にSK入りしたパク・ジェホン
そのパク・ジェホンが、どうしても先制点が欲しい中日戦の序盤、自らの判断で送りバントを試みます。これを見て、キム・ソングン監督は「(サインが間違って伝わったかと思い)コーチにサインを確認した」ほど。「チームのために、送りバントをするとは、パク・ジェホンは成長した」というのが監督のパク・ジェホン評です。
チャイナスターズにコールド勝ちし、臨んだ統一戦でも、大量得点での勝利の後は、大振りになりがちですが、右打ちや次の塁を狙う走塁など、きっちりとした攻めをしてきました。
さぁ、いよいよ決勝戦です。韓国出場チームがアジアシリーズ王者に輝くことは出来るのでしょうか?
(文・写真 室井昌也)
室井昌也

1972年東京生まれ。韓国プロ野球の伝え手として、著書『韓国プロ野球観戦ガイド&選手名鑑』は2004年より毎年発行。今年もアジアシリーズのプロモーションとして11月10日に「韓国プロ野球トークライブ」を実施。
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