今年もアジアシリーズが始まります。台湾も10月28日に出場チームが決まりました。今年は統一獅子隊(ライオンズ)が出場します。
ただこのチーム、一昨年の興農、昨年のLanewとは、ちと趣きが違うチームなんです。
『予測不可能のチーム』。
そう呼んでもいいでしょう。
『アパッチ野球軍の実写版』
ちょっと古すぎてわかりませんかね。
まず、アジアシリーズまでの道のりがフツーじゃありませんでした。
なにしろ今季は前期開幕(台湾は前期50試合、後期50試合の100試合制です)から4勝13敗という、見事なまでの“開幕逆スタート”で一時はダントツの最下位。それが4月下旬あたりから連勝に次ぐ連勝で首位に手が届くまでに躍進。でもって、あと一勝すれば前期大逆転優勝!ってところでコロッと敗れ、誠泰コブラスってチームに優勝を進呈したのです。
ただ後期も好調さをキープして、でも「前期の二の舞はしないぞ」って感じで上位圏を守り、夏場を乗り切り、首位に出る。そして「こりゃ優勝間違いなし」というシーズン最終盤に、今度は昨季のLanewベアーズに差し切られ、またしても2位に。で、前期優勝の誠泰とのプレーオフに廻ったのです。
ちょっと説明。上記の通り台湾は前後期制です。でも前後期総合した勝率一位のチームが各優勝チームとは異なる場合、メジャーのワイルドカードのような感じで、プレーオフに出られるという「救済方式」が採られているのです。統一はそれに助けられ、敗者復活。
(相手は各優勝チームのうち、年間の勝率が低かった方です。今季は前期優勝の誠泰でした)。
しかし復活もいいところです。だって試合結果は以下の通り。
第一戦 統一○9-2●誠泰
第二戦 統一○14-0●誠泰
第三戦 統一○13-2●誠泰(注・5戦3勝制)
プレーオフの緊張感も何もあったもンじゃない大差の3連勝です。ま、誠泰も後期は主軸打者の外国人選手が途中帰国などして、戦力が大幅ダウン。最下位に落ちてたチームなので、力の差は明瞭だったのですけどね。
そして再び、Lanewベアーズとの台湾シリーズとなりました。ところがこのシリーズも……。ま、説明するよりご覧戴いた方がリアルかも知れません。
第一戦 統一○10-2●Lanew (うむ、やるじゃねぇか)
第二戦 統一○7-3●Lanew (こりゃ楽勝か?)
第三戦 統一●6-7○Lanew (ま、相手の昨年王者だ)
第四戦 統一○11-4●Lanew (よし、王手!)
第五戦 統一●5-8○Lanew (おいおい)
第六戦 統一●5-6○Lanew (逆王でだぞ!!)
第七戦 統一○4-2●Lanew (…涙…)
どうです?試合内容がわからなくても、結果展開だけでも笑えませんか?見事なまでの演出です。まるでマンガです。いや、マンガでもこれだけのシリーズ、そしてペナントを描くのには相当の構成力が必要です。へたすりゃ読者が引きます。
台湾のファンも、よくぞ最後まで応援していたと思います。期待すれば裏切られ、見放せばまた蘇る。とにかく観ているだけで、疲れるチームです。勝つときはマシンガン打線のようにバットが炸裂し、負けるときはエラー満載、併殺、凡打の自滅、自滅。
そんなですから、アジアシリーズだってあっけなく、コロッとこける可能性大です。でも、もしかしたら(?)とんでもない大番狂わせをやってのけるかも知れません。
まあ目の肥えた日本の野球ファンからすれば、未完成、未成熟、欠点だらけのチームに映ることでしょう。好き嫌いがハッキリ分かれるタイプのチームです。
でも、そんなプロチームが同じアジアに存在する。それをご紹介できるだけでも今大会は意義がある、そう思っています(笑)。
ただこの統一獅子隊、90年に台湾にプロ野球が発足して以来、数少なく残っている老舗球団でもあるんです。優勝も数度果たしています。なのに、キャッチャーが1番を打ったりするんです。で、そのキャッチャー、一塁に出たら盗塁までしてしまう(!)。
ほんと、マンガみたいなチームです。勿論、1番から9番、エースから外国人助っ人まで、キャラ立ちまくりの連中です。
今後は随時、そんな“愛すべき棒球隊員”たちを紹介していきたいと思っています。
(文・写真 木村 公一)
木村公一
1961年東京生まれ。80年代半ばから韓国プロ野球を取材。台湾は90年のプロ発足時からフォロー。アメリカもメジャーリーグからマイナー、独立リーグと野球あるところ歩き回る。著書に『裏方―物言わぬ主役たち プロ野球職人伝説』(角川書店)など。
はじめまして、私、Jennyと申します。統一獅子隊のファンとしてもう18年です。書かれた通り、統一獅子隊のファンはこの6年間(2001~2007)期待すれば裏切られ、見放せばまた蘇るという悪循環に生きています。ただ、今年はちょっと光が見えるかなと感じて、みんなは立ち直して応援して上げて、やっと勝利が手に入れました。それも野球の面白い面の1つじゃないかと思います。
はじめまして、私、Jennyと申します。統一獅子隊のファンとしてもう18年です。書かれた通り、統一獅子隊のファンはこの6年間(2001~2007)期待すれば裏切られ、見放せばまた蘇るという悪循環に生きています。ただ、今年はちょっと光が見えるかなと感じて、みんなは立ち直して応援して上げて、やっと勝利が手に入れました。それも野球の面白い面の1つじゃないかと思います。